九六位山日記(ゆきのさきこ)

私のマンションのベランダから見える山は、九六位(くろくい)山です。雨はいつもこの山を越えてきます。

ミヤマキリシマは今年も

 

 久住連山のミヤマキリシマを、昨年は「もう一生分見たよ」と思っていたが「今年の花はもっと良いよ」と知らされ、雨模様を気にしながら、山友達二人と長者原、三俣山、法華院温泉のルートを出かけた。

 ピンク色のミヤマキリシマは久住の山々一帯に広がり、めまいをがするほど満開であった。友達二人は黙ってひたすら歩く。定年退職したばかりで思うことも多いのだろうか。私も近々シルクロードへの旅を予定していたので「もしかして今生の別れか」としみじみと歩いた。

 そして夜は、月が淡く照らす山小屋で思い思いのお酒を飲んだ。山は寡黙な人と登るのが良いと気がついた。