九六位山日記(ゆきのさきこ)

私のマンションのベランダから見える山は、九六位(くろくい)山です。雨はいつもこの山を越えてきます。

八ヶ岳縦走(4泊5日)

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コマクサの丘を歩く



八ヶ岳縦走(4泊5日)

7/28(水)

 今年の大分労山夏季遠征は八ヶ岳である。参加者は7人。朝5時18分、大分駅から出発、塩尻経由茅野へと向かう。メンバーが事前にJRの『安近短』を調べてくれていたので、乗り換えもスムーズ。15時には八ヶ岳ロープウエイに乗り込んだ。標高2237mの山頂駅から坪庭の散策路を歩いて20分、1日目の宿、縞枯山荘に着く。ご夫婦でやっている小さな山小屋、他のお客は75才の女性と小学生の女の子。私たちの登る逆コースを来て、明日は蓼科山に向かうとか。(こんな二人でも登れるのだと安心したのは、あとで思えば、大変な間違いであった)。

7/29(木)

 縞枯山荘を6時30分、ラジオ体操をして出発。毎朝、予定より30分早く出発することにしたのはNリーダーの慧眼。この30分が、この後、貴重な時間となる。

 まずは縞枯山2403m)から。立ち枯れになったシラビソの木が、縞状の模様になって、山頂まで広がるのでその名がついたとか。その後、樹林帯の中、苔を楽しみながら、茶臼山、大石峠、麦草峠と順調。コバイケイソウフウロオダマキと夏の花も優しい。白駒池あたりから通り雨。中山峠まで荒れた登山道を延々と登る。

 今日の宿は、黒百合ヒュッテ。ここも宿泊客は少なく静か。この小屋の名物のハンバーグが出た。夜中に外に出ると、まさに「星闌干」。これが見たかったのだ。

7/30(金)

 黒百合ヒュッテを出て、いよいよ、赤岳に向かう。東天狗、根石岳、冠山と進み、やがてコマクサの丘が現れる。霧がかかったような緑の葉の中に、駒の面に似た薄紅色の花がスクッと立つ。手のひらに乗るサイズ、他の植物が生えない砂礫の地に群れ咲く不思議な花だ。

 硫黄岳(2760m)の切り立った断崖を楽しみ、硫黄岳山荘で昼食。女性の登山者が、生ビールを呑みながら、この先のコースのアドバイスをしてくれる。楽しい気分はここまでで、横岳に差し掛かると、岩場、鎖場、梯子が次々に現れる。さらに地蔵ノ頭を過ぎたあたりから、滝のような夕立雨と雷。先頭を行くリーダーの声が厳しくなる。岩場が得意なk女子が先導してくれる。雨は1時間ほどで小降りになり、霧が晴れると、あたり一面、赤、青、黄色のお花畑。無事で良かった。

 赤岳展望荘(2722m)には、予定の1.5時間遅れで着く。熱いコーヒー、ストーブ、真新しい木の二段ベッドに柔かい布団。本当に癒された。

7/31(土)

 今日はいよいよ八ヶ岳連峰の主峰赤岳(2899m)だ。天気も良好。赤岳展望荘の裏から、赤茶色の急斜面を、高度が高くなったので呼吸を深くしながら、ゆっくり登る。1時間ほどで山頂。立派な祠がある。横岳、硫黄岳などこれまで歩いてきた山々が一望できる。

 赤岳からの下りも、ざれ場、岩場、ハシゴ場の連続。権現岳(2715m)直下では61段の、ほぼ垂直のハシゴも現れる。みんなで声をかけあいながら慎重に登る。権現岳を越えると、やがて眼下に青年小屋の青い屋根が現れる。青年小屋(2400m)は別名「遠い飲み屋」。前庭で、橙色のダルマユリが迎えてくれる。ベンチではすでに何組かの宴会が始まっている。土曜日のせいかテント場は若い人でいっぱいだ。お酒、おつまみも居酒屋並みに充実。夕食もメロンが出たり豪華。消灯まで宴会が続き、都会風の会話が聞こえて楽しい。夕暮れの富士山を飽かずに眺めた。

8/1(日)

 いよいよ最終日。天気も良い。最後の編笠山(2524m)に登る。小屋の裏が登山口。途中、岩穴の奥にヒカリゴケを発見。山頂は、富士山、北アルプスの大展望。今回の私たちの縦走路も見渡せる。やり遂げた感に浸る。下りは、押手川、雲海を経てタクシーの待つ観音平へ。ダケカンバの樹林を駆けるように下りた。