九六位山日記(ゆきのさきこ)

私のマンションのベランダから見える山は、九六位(くろくい)山です。雨はいつもこの山を越えてきます。

カフェで朝食

 ゴミ出しの朝は、せっかく服を着替えたのだからと近所のカフェに行く。

 若いご夫婦が2年前に開店し、朝7時半から、焼きたてパンの朝食を出す。私のお気に入りは、チーズオムレツとマッシュポテト、ロールパン2個そしてコーヒーのセット、500円。コーヒーは市内で美味しいと評判のハゼの焙煎。そのほかに、目玉焼きに分厚いベーコンのセット、生ハムと野菜サラダのセット。寒くなるとクリームチャウダーのセットもある。

 私は週1回だけ行くことにして、新聞を読みながら1時間ほど過ごす。本当は毎朝でも行きたいが、おばさんが入り浸っているのは見た目がよくなかろうと、実は気を遣っているのだ。

 席は15、6席。幼稚園に子供を送り出したママ達。遅い出勤のおしゃれなお姉さん。たまに新聞持参のおじさんや近所のおばさんの二人連れも来る。

 窓に朝の光、目の前に美しい朝食のテーブル。なぜか良い一日になりそうな気がする。お店は流行っているのだろう、最近市内にもう一軒出した。 

 繁盛店の条件には、お店の立地、料理、接客、清掃などいくつかあるが、お客の佇まいも大切である。小さな街角のカフェであっても、その店にふさわしい服装、会話、立ち居振る舞いなど、お金を払う以外にお客が担う役割があると思う。

 飲食店は開業3年で7割が廃業、10年残るのは1割程度といわれる。最近は、補助金や借入金に依存する店も多いためか、開店して1年程度で閉店する店も目立つ。お客と心を通わせないまま諦めてしまったのであろうか。

 もし近所のこのカフェがなくなったら私の朝はつまらなくなる。そのことをいつかお店の人に伝えたい。